東南アジアのリゾートアイランド・フィリピンに独自に産まれた国産の音楽ジャンルが存在する。
その名も「Budots/ブドツ」は、現地ではダンスミュージックとして老若男女に親しまれ、町中で耳にすることも多い音楽です。
今回の記事ではフィリピン発祥の音楽「Budots/ブドツ」の正体を明らかにします。
音楽好きは要チェックです!
- 海外発祥の独特の音楽を探している方
- フィリピン発祥の音楽を聞きたい方
- Budotsの正体を知りたい方
フィリピン発祥の音楽「Budots/ブドツ」

フィリピン発祥の音楽「Budots/ブドツ」とは、ビートは140bpmでフィリピンのミンダナオ島が発祥のエレクトロニックダンスミュージックの事を指します。
現地では「テクノやハウス」なんて呼ばれ方もしています。
「Budots/ブドツ」の名前の由来は、地元の俗語のスラングで、「仕事がない」もしくは「永久に仕事がない人」を意味します。
「Budots/ブドツ」の音楽シーンはダンス共に発達し、腰を低く保ちながら、足腰を利用し、まるで猿のようなダンスをします。
「Budots/ブドツ」との相性の良いドラックなどはまだ明確になっていませんが、日常生活からフィリピン人は「Budots/ブドツ」を聴くことから、気候や南国の気温に合う音楽なのかも知れません。
Budots/ブドツの発祥は

フィリピンの第三の都市・ダバオの小さな町(バランガイ)のタンベイで、「Budots/ブドツ」は産まれました。
Budotsのダンスは一見、フリースタイルに見えますが、実際はバジャウダンス(Bajao Dance)に基づいています。
以下の動画より、「バジャウダンス(Bajao Dance)」を観ることが可能です。
テクノミュージックを彷彿とさせるバジャウ族のドラムビートは、「Bistik」もしくは「Bisayan Tikno」と呼ばれます。
バジャウと言えば、日本人も住んでおり松田大夢氏が有名です。
バジャウの発祥は、フィリピン南部のスル族地域に住む部族の名前で、海上に住んでおり「海のジプシー」とも呼ばれます。
以下の動画より、「バジャウ族のドラムビート」を観ることが出来ます。
まさに人間Budots/ブドツ製造マシーンです!
Budots/ブドツのダンス

フィリピン国内発祥の音楽「Budots/ブドツ」の文化はダンスと共に歩んでいます。
Budotsダンスに決まりはありません。
自由に踊ることがBudots/ブドツダンスとされ、基本的に誰かに習うことはなく、その場の雰囲気に合わせて踊るのがコツです。
Budotsダンスは腰振りがセクシーなことや、酔っ払いが踊るイメージが強いことから、一部のフィリピン人からは不評で、あまり良い印象を持たない方も一部にいます。
しかしながら、大半のフィリピン人は踊りが好きで、「Budots/ブドツ」が掛かれば、音楽に合わせて踊りだしパーティーでは大盛り上がりです。
Budots/ブドツはいつバズった

「Budots/ブドツ」がフィリピンでバズるきっかけとなったのは2010年頃に、YouTubeにアップされたローカルダンサークルーの「Camus Boys」がBudotsに合わせて踊る動画です。
以下の動画は特に人気で2021年現在では千万回以上の再生数を誇る人気のYouTube映像です。
Budots/ブドツがどの様にバズったか詳しく以下で説明します。
DJ LOVEとCamus Boys

「Budots/ブドツ」をフィリピンでバズらせたのはトラックメイカーの「DJ LOVE」とBudotsダンサーの「Camus Boys」とす。
Budots/ブドツのトラックメイカーの「DJ LOVE」はfacebook上で、Sherwin Calumpang Tunaで見つけることが可能で、不定期でネットライブ配信を行い彼のロングDJミックスをMCと共に楽しめます。

Sherwin Calumpang Tunaのfacebookページのフォロワー数は3万4千人以上でフィリピン国内でローカルに非常に人気のあるDJです。
彼は別名で「Lablab」と名乗ることもあります。
ちなみにBudots/ブドツのトラックメイカーの「DJ LOVE」は音楽制作ソフトウェア「Fruity Loops」を使用しています。
Budots/ブドツ特集のドキュメンタリー映画

2019年8月にフィリピンで行われた「Cinemalaya Philippine Independent Film Festival」では「Budots/ブドツ」のドキュメンタリー映画「Budots:The Craze」が初公開されました。
映画プロデューサーのジェイローザスと撮影監督のマークリンバガは、「Budots/ブドツ」の楽曲制作する「DJ LOVE」とBudotsダンサーの「Camus Boys」追跡しドキュメンタリーを制作しました。
映画「Budots:The Craze」の内容は、大衆文化としてどのようにして「Budots/ブドツ」が始まったのかなど、文化的な側面を多く探求した内容となります。
この映画の中で、DJ LOVEは「Budotsダンスは音楽が発祥した後に出来た文化だ」と述べています
つまり、Budotsはダンスよりも音楽が先に誕生したことが分かります。
DJ LOVEは振付師でもあり、ダンスに合わせリミックスも手掛けていたことも分かりました。
ドゥテルテ大統領もBudots/ブドツを踊る

2016年のフィリピン大統領選挙の準備段階で、当時ダバオ市長を務めるロドリゴドゥテルテ氏は、カメラの前で複数のローカルの若者と共にBudots/ブドツを踊り話題となりました。
この動画はYouTubeまたはFacebookで公開され、アップロード後またたく間に数百万回も再生されました。以下より、その動画が確認できます。
2012年には、フィリピンのニュース番組「Kapuso Mo」にてローカルの有名アナウンサー・カプソモジェシカソーホー(Jessica Soho)が「Budots/ブドツ」を紹介しました。
その後、ダンス好きなフィリピン人に急速に浸透し、国民ダンスの1つとしてBudots/ブドツが認知されるようになりました。
以下より、その動画が確認できます。
Budots/ブドツは最終的にパロディ的な扱いの音楽として楽曲も作成され、2017年にフィリピン国内のレコード会社「BuwanBuwan Collective」から、ドゥテルテ大統領のスピーチから一部の音声をサンプリングして作成した楽曲を公開しました。
以下から、その楽曲をSoundcloudから聴くことが出来ます。
フィリピンのバラエティ番組PBB(ピノイビッグ・ブラザー)で優勝を収めたRuben Gonzaga氏が、Budotsダンスをテレビで披露し、フィリピン国内での知名度をより上げました。
またフィリピンのローカルのラジオ局の97.1 LuPigSilaも「Budots/ブドツ」を紹介しました。
Budots/ブドツが聞ける場所3選

フィリピンの音楽「Budots/ブドツ」に興味があるけど、実際はどこで聴けるのか興味が湧いてきた方に向けて、Budotsが聴ける場所を3つご紹介いたします。
- フェスタ
- Spotify
フェスタで聴くBudots/ブドツ

Budots/ブドツを唯一、現地の雰囲気と一緒に楽しめる場所は「フェスタ」でしょう。
フェスタとは町(バランガイ)ごとに行われる地域のお祭です。
フェスタでは出店や賭博のチキンファイトなどがありますが、夜間の暗くなってからはバランガイホールやバスケットコートを貸し切り、地域のモバイルサウンドと呼ばれるレンタル音響会社を呼び、巨大なスピーカーと照明を設置し夜な夜なパーティが開催されます。
パーティと言っても地元のローカルの集まりで、DJがいない場合もあり、お気に入りの音楽を地域の方で回して掛ける場合もあります。
フィリピンのフィエスタでよく耳にする音楽はBudots/ブドツをはじめ、EDMやヒップホップの場合もあり、バランガイより異なります。
近年2020年では都市部でBudots/ブドツはあまり聞かなくなり、田舎のフィエスタではいまだにBudots/ブドツが聴けるのではないかと思います。
ちなみに以下の写真のようなとんでもないデカいサウンドシステムを持ち込むフィリピンのモバイルディスコも非常に人気で、機材費と搬入代金で安くて5,000ペソ(約10,000円)から注文可能です。

facebookで聴くBudots/ブドツ

フィリピンの国内でBudots/ブドツの楽曲を作成するトラックメーカーは大半はfacebookのアカントを所持して、Budots/ブドツのクルーに所属し、そのクルーのフェイスブックページから新着の楽曲を公開することが定番の流れです。
ちなみに以下のリンクのfacebookページに飛ぶと、楽曲紹介とともにBudots/ブドツの楽曲が圧縮されたmp3がリンク先で無料ダウンロードが可能となります。
Spotifyで聴くBudots/ブドツ

近年では、音楽ストリーミングサービス「Spotify」でも人気Budots/ブドツの楽曲を聴くことが出来ます。
以下は、Budots/ブドツのレジェンド・DJ Red Coreの楽曲です。
どこかで聴いたことがあるサウンドであれば、そればTikTokで使用されているBudotsの楽曲です。
Budots/ブドツのレジェンド「DJ Red Core」

フィリピン発祥の音楽「Budots/ブドツ」を語る上で重要な人物として、セブ島在住のレジェンド「DJ Red Core」は世界的にも有名なDJで、DJ Red Coreが制作した「Kiat Jud Dai」という楽曲は皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。
残念ながら2018年に心臓発作が原因でDJ Red Coreは他界されましたが、今でも彼の楽曲はフィリピンで愛され続けています。
TikTokでBudots/ブドツは世界的にバズった
セブ島在住のレジェンド「DJ Red Core」はスマホアプリのTikTokの発展と共に一躍世界で有名になり、Budots/ブドツと知らなくとも皆さんも一度は耳にしたことがある楽曲は、上部の映像から確認できます。
TikTokが日本に上陸した際の広告にも使用されたBudots/ブドツの楽曲「DJ Red Core – Kiat Jud Dai」は簡単な振り付けで踊ります。
これはオリジナルのBudotsダンスとは異なりますが、可愛らしくポップな振り付けです。
Budots/ブドツの作曲する日本人DJ

Budots/ブドツの楽曲はフィリピン国内のみにならず日本でもBudots/ブドツを制作するアーティストが高野政所氏です。
以下は、「ハリウッドザコシショウの誇張しすぎた林修先生のモノマネ」をサンプリングしたBudots/ブドツの楽曲です。
曲調も映像も癖になる出来上がりです!
以下のBandcampからは、高野政所氏のBudots/ブドツの楽曲が購入可能ですので、一緒に見てみてください。
フィリピン発祥の音楽 Budots/ブドツ まとめ

フィリピン発祥の音楽・Budots/ブドツの魅力は伝わりましたか?
上記で紹介したBudots/ブドツ映画の「Budots:The Craze」の監督は「結局、Budotsの発祥は明確にわからなかった」と述べており、正直、謎の多い音楽ジャンルです。
フィリピンの文化の一つとして「Budots/ブドツ」の良さが皆さんに伝われば幸いです!
\たくさんの方に選ばれています!/